伝統色を楽しもう 灰色
カラーのチカラであなたを笑顔にする、サイ・カラーセラピスト菅野かおりです。
前回に引き続き今回もサイ・カラーセラピーにはない色ですが、伝統色には欠かせない色名をお伝えしたいと思います。
10回目は「灰色」。
平安時代に盛んに使われていた色名に「鈍色(にびいろ)」があります。
これは濃い灰色で、淡い青海の薄い灰色は「薄鈍(うすにび)」になります。
源氏物語や枕草子に登場し、仏事や凶事に使われる喪服の色でした。
時に亡くなった人とのつながりが深ければ深いほど、濃い色を着たそうです。
悲しみの深さを色の濃さで表すという、日本人の細やかな感性が感じられます。
江戸時代には「鼠色(ねずみいろ)」が流行しました。
江戸時代の庶民にとって鼠は最も身近な灰色だったのです。
(わたしの子どもの頃もまだ、普通に「ネズミ捕り」を使うくらい鼠がいましたが、今はすっかり見なくなりました。)
幕府が派手な色の使用を禁じたため、前回の茶色と並んで、多くの灰色が登場しました。
緑みがかかった淡い鼠色の「利休鼠(りきゅうねずみ)」、赤みのある「梅鼠(うめねず)」、
「桜鼠(さくらねずみ)」、藤の花のような紫がかった「藤鼠(ふじねず)」など日本独自の灰色のバリエーションが生まれました。
日本独特の「詫び・寂び」にも通じる静かな大人の色ともいえますね。
次回もどうぞお楽しみに。
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